ラッテリアは、1965年創業のレストラン。ローカルな“街の台所”でありながら、有名な俳優やデザイナー、実業家、ジャーナリストなども足繁く通う店だ。しかし、どんなセレブリティであろうと予約をとらないのがポリシーで、時には行列に並ばなければならないこともある。過去にはドナルド・トランプも予約を拒否されている。
その名店が、12月22日で約60年にわたる歴史に幕を閉じる。その知らせは地元の常連客のみならず、世界各地のファンに衝撃を与えた。
モンクレール、ブルガリ、マセラティ……イタリアのブランドとのコラボレーションを数多く、複数年にわたって手がけるフラグメントデザインの主宰、藤原ヒロシもその一人だ。
レモンパスタというと、クリームパスタが一般的だが、ラッテリアのそれはオイルベースで、むしろペペロンチーノに近い。皮まで使ったレモンの酸味と苦味、イタリアンパセリの香り、そして青唐辛子の辛味が効いている。
ペヤングの焼きそばに「かやく」は入れず、ラーメンも極力「具」を入れないという藤原は、麺とソースやスープのシンプルさを好む。ラッテリアのレモンパスタは、その味に加え、「アルデンテ。この茹で加減がいい」のだという。
ラッテリアのオーナー、アルトゥーロ・マッジ(85)、マリア・マッジ(77)夫妻はトスカーナ出身。ともに高齢とあり、しばし閉店がささやかれていた。それが決定的になったのは11月上旬。ミラノ滞在中の藤原に、「ヒロシ、時間があったらラッテリアに行った方がいい。彼らは12月に引退するらしい、おそらくクリスマス前までだと思う」とパリの友人から連絡があった。翌日にランチに行くと、12月22日までと知らされた。
レモンパスタとチコリサラダを食べられなくなる。その前にもう一度。藤原は12月、2泊4日の予定を調整し、ミラノを訪れた。
店はディナー営業もしているが、藤原が行くのはいつもランチタイムだ。たいてい数人の友人と一緒で、今回は「OAMC」創設者のアーノルド・フェーと「JIL SANDAR」のデザイナー、ルーク・メイヤーと訪れた。
藤原ヒロシと「世界一のレモンパスタ」 惜しまれるミラノの名店 - Forbes JAPAN
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