黒潮町が新たな特産品として推すのがグリーンレモン。10年以上前から日本一の産地化を目指した有志の元に若い農家が集い、年々収穫量が増えている。そのグリーンレモンを活用した新たな特産品が4月下旬に誕生した。「黒潮グリーンレモンビール」だ。道の駅「ビオスおおがた」が果汁を持ち込み、TOSACO(トサコ)の銘柄でクラフトビールを製造する合同会社高知カンパーニュブルワリー(高知県香美市)に製造委託した。
売行きは予想を超え、ゴールデンウイーク向けに準備した300本は連休前半で品切れ。その後も2週間ごとに同量を仕入れるが、アフターコロナも相まって、入荷後10日程度で完売のペース。さらに第2弾が進行中で、8月上旬には販売予定とのこと。
道の駅の土居美香支配人によると「もともと酒類の売り上げは多い」。なぜ道の駅で酒類が、と思うところだが、サーフスポットであり、キャンプ場が2カ所、夏には海水浴場も2カ所設置される入野ビーチに隣接しているという好立地。通過交通だけでなく、目的地としての利用が多いのだろうと推察される。
ところでビールの出来栄えはどうか? 製造元のカンパーニュ社の瀬戸口信弥代表に伺うと、「柑橘(かんきつ)類は酸味や香りの特性がビールと相性が良く、素材を生かしやすい」のだそうだ。グリーンレモン特有の果皮のえぐみや苦みもホップの苦みと呼応し、いいバランスになっているらしい。確かに双方の苦みがマッチし、むしろ丸みを感じる。
「味」は当然ながら、もうひとつのこだわりがラベルだ。黒潮町の風景をイメージしたデザインで、2種類のラベルを並べると景色が広がるという仕掛けも。
この道の駅はすでに果実としてのレモンの直売所であるうえ、オリジナルのレモネードや冷やし中華などで原料としても活用し、産地をアピールしてきた。今回のビールはこれまでと違う客層に届くだろうから、さらに産地の認知に貢献するだろう。
「ここでしか買えない、ここでしか飲めないことを理由に町に人を呼びたい」「ブランド化で後継者が増えて、町が元気になればいい」「産地として有名になれば、移住の動機になるかも」。そんな熱い思いをさらっと語る支配人。その言葉に感銘を受けている脇で「本当はうちがもうけることが一番大事なんだけどね」と、いたずらっ子のような顔で笑う彼女は少し苦い癖を持つが、さわやかな後味のするグリーンレモンのような人だ。きっと第2弾は、そんな支配人のいたずら心が表現された面白いビールとなるに違いない。(黒潮町缶詰製作所 友永公生)
今夏の押しはグリーンレモンビール 高知・黒潮町 - 産経ニュース
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